2024-01-01から1年間の記事一覧
――高裁が隠蔽した主張は他にもありますか? 「上林は二度目の脳溢血で右半身不随になり、左手で原稿を書くようになった。妹の德廣睦子が苦労して判読したことが知られているが、『ツェッペリン飛行船と黙想』を出す頃には睦子にその力はなくなっていた。それ…
「「自由詩が巻頭にあるのは自分の専門が西洋史学で、観戦記が巻末にあるのは自分の趣味が将棋だからである。その二編についてだけ解説を執筆した。」これが原告の主張だ。証拠が「解題」であるので誰も否定できない。キラー主張と呼ぶことができるだろう。…
「『智恵子抄』事件と『地のさざめごと』事件を知っているかい?どちらも編集著作権に関わる裁判だが、戦争が関係している。『智恵子抄』の著者高村光太郎は戦意高揚の詩をたくさん書いた。当事者の龍星閣は戦争詩集『記録』と『智恵子抄』を出版した。『地…
2024年10月30日 『ツェッペリン飛行船と黙想』事件の概要は分かったものの、細かいところが気になったので引き続いてゲーテに尋ねてみた。裁判所がネットに上げている情報だけでなく、遺族から聞いたという話も知りたかったからである。 ――裁判所が争点を捏…
――だんだん見えてきました。被告は原告が編集したことを認めた上でその創作性を否定した。しかし創作性が認められる可能性が高いと考えて、やっぱり自分が編集したと言い出し、それを裁判所は認めた……。 「いや、被告は最初から二股をかけていた。自分が相当…
2024年10月15日 午後、いつものようにゲーテ邸を訪れた。「事件」の話の続きをした。 「著作権侵害で訴えられた側が反論する場合、次の二つの主張から一つ選ぶことができる。一つは「それは著作物でない」で、もう一つは「あなたは著作者でない」だ。著作物…
――詐欺ですか!? 私はびっくりしたが、ゲーテは静かに説明を始めた。 「知的財産高等裁判所が創作者から創作性を、従って著作権をだまし取って盗作者に与えたのだ。」 ――そんなことがあるのでしょうか。 「高裁の判決文を読んでみよう。被告の第一の主張は7…
2024年10月1日 ゲーテのところへ行く。気になることがあったが、本当に聞きたいことは後回しにした。 ――上林暁をご存知ですか? 「ああ。川端康成に才能を見いだされ、三島由紀夫に敬愛された作家だ。ドナルド・キーンは上林を私小説作家の代表者として扱っ…